購入時期がベストだった
この記事を見て、松本さんはなかなか思い切った投資をする人だと思いました。その土地の取得時期が2010年というリーマンショックの時期でしたから、不動産業者でさえも土地売買を手控えていたのです。その頃は土地はまだ下がるだろうと言われていましたし、金融機関の不動産向け融資も厳しい面がありました。
この時期は、中堅デベロッパーが相次いで経営不振になり、民事再生法によって姿を消して行きました。原因はリーマンショック前に取得した不動産が大幅に下落して担保価値が下がり、金融機関への返済が難しくなり、さらに不動産向けの融資も厳しくなりました。
業界では、不動産の任意売却による物件が多く出回りました。今思えばその時期に買い漁っておけば良かったと思われますが、実はそう簡単な事ではなかったのです。不動産会社は従業員を雇っていますから、経営を維持するために、定期的に物件を仕入れて売却を行い、利益を出し続けなければならないのです。
また、数億円もの土地を購入して5年以上も寝かせようとする場合、融資先である金融機関の融資枠を使ってしまうため、別枠の投資が少なくなります。つまり、中長期に渡って不動産を保有するためには、資金力が必要になります。それだけの体力のある不動産会社にしか出来ないことになります。
松本さんは、そういう状況の中で、個人で8億円もの投資が出来たのが不思議です。さらに地型がL字型で、南側に面している土地が狭いことから、土地を100%有効に使えないのです。
しかし、だからこの土地を買えたということも言えます。「顏の良い土地」というのは競争も激しいので、なかなか手に入りません。
指南役は誰?
指南役としては、同じ芸能人仲間や島田紳助さんの名前もネットで上がっていますが、その可能性はあると思います。島田さんは都内に飲食店ビルを所有していますから、都内の不動産情報も入手できると思います。
週刊誌では、松本さんが土地を購入する前の所有者が、不動産デベロッパーのプロパストとなっていますから、売却情報が仲介業者を通じて流れたのか、またはこの会社の誰かが芸能人とつながりがあって、情報を持ち込んだ可能性はあります。
松本さんが転売した土地とはどんな土地だったのか、週刊紙の記事を参考にして分析してみたいと思います。
所在:東京都港区新橋 JR新橋駅の西側で徒歩3分松本さんが転売した土地とはどんな土地だったのか、週刊紙の記事を参考にして分析してみたいと思います。
売却物件
取得時期:2010年8月
面積:261.08㎡(78.97坪)
地形:L字形の角地
【都市計画法上の制限】
用途地域:商業地域
建蔽率:80% 容積率:700%
平成27年度路線価:293万円/㎡(坪968万円)
参考までに当時の南側道路の路線価の推移です。リーマンショックによってピーク時から3割近く値下がったことが分かります。しかし実勢取引では路線価は参考程度にしかなりません。都心の商業地では、経済が安定している時期であれば路線価の1.5倍から2倍にもなりますが、景気後退時期であっても路線価を下回ることはほとんどありません。
路線価(㎡)
平成21年 335万円
平成22年 292万円
平成23年 275万円
平成24年 261万円
平成25年 258万円
平成26年 272万円
平成27年 293万円
土地相場は?
8億円という数字の根拠は、地元不動産業者の話です。2010年はリーマンショック後という事もあり、地価は下がっていましたが、今回の土地は新橋界隈でも一等地ですから1坪1000万円程度はしていたそうです。これに土地面積78.97坪を掛けると推定8億円になるということになります。
しかし、近年は不動産市況が回復して都心では地価の上昇が顕著になっていますから、2016年現在の同立地の土地の価値は2倍程度になっているようです。つまり1坪2000万円という事になります。
虫食い状態の土地
角地にはタバコ屋と韓国料理屋が建っています。この土地建物をあわせて買い取ることができれば100坪ほどの整形地になるため、100%土地の有効利用が出来ます。しかし、角のタバコ屋さんは昔から営業しており、売却して立ち退く考えは無い様です。
税金を考えたプロの取引
不動産を取得して5年以内に売却すると短期譲渡取得税として売買で得た利益に対して39%の税金が課されます。しかし5年以上経過して売却すると長期譲渡取得の扱いとなり、20%の税金で済みます。そのため、その間は固都税をペイするためにコインパーキングなどにしておくことが多いのです。
この取引については週刊誌では「プロの取引」だと書いてありますが、不動産を投資する人は、これくらいの知識は持ち合わせています。不動産取引は金額が大きいので税金についてもしっかり考えて投資しています。
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