思いついたことを伝えたいブログ

2016/08/28

金融庁や国交省が注視し始めたアパート建築事業のリスクとは

かつてない低金利と相続税控除額の減額によって、アパート建築が増えています。休耕地などの土地をそのままにしておいても固定資産税はしっかりとかかってきます。土地の面積によっては年間数十万円の負担にもなります。今さら土地を耕して野菜などを作ろうにも、そんな気力など無いのが一般的です。



そこで手間をかけずに何とか収益を生む方法はないものかと考えたとき、アパートを建てて家賃収入を得ようという方法です。これなら労せずして税金を払いながら収入も得られます。

 

但し、入居者が見込めるような立地でないと事業はうまくいきません。さらに入居者が見込めそうもないような立地でアパート建築行った末、事業主である大家さんが大変な事態に遭遇してしまう事もあります。
 
 
 
では、なぜ入居者が見込めそうもないのにアパートを建てるのでしょうか。そこにはアパート建築を勧める建築事業会社の戦略があるのです。





 
 
 
 

利益至上主義と高給待遇

 

建築事業会社は民間の会社ですから、当然、利益を追求します。さらに社員には契約に至ると高率の歩合(インセンティブ)が支払われます。このお金に魅力を感じて仕事をしている人は多いのです。その代り、営業成績については厳しく問われます。朝から夜まで数字数字の世界です。つまり、営業社員はそのようなプレッシャーの中で働いているわけですから、契約に至るまでは、営業トークとして「耳ざわりの良い」ことばかりを連発することは想像できます。実際にそうしないと契約など取れないからです。売上のために、契約のために、土地を求めてどんどんと郊外に出向くのです。
 
 

 

契約ツールの長期家賃保証(サブリース)の問題点

 

アパートを建てても予定通り入居者が集まるのか不安になります。ほとんどの家主はアパート建築資金を金融機関から借り入れしますから、どの程度、入居が見込めるのか重要なポイントです。そこで、家主の不安を取り除くシステムとして「家賃保証(サブリース)」があります。
 
 
 
家賃保証はアパートに空室があっても一定額の賃料を家主に保証するシステムですが、その割合は地域や立地によって異なります。総額賃料の80%から85%が一般的です。

 

保証期間については、事業会社によって異なりますが、20年とか30年になります。ここで問題なのが、本当にその期間、絶対に賃料を保証してもられるのかというと、そうではありません。
 

 

契約書で保証期間の内容を確認

 

建築事業会社によりますが、長期家賃保証を謳っていても、契約内容では当初5年間から10年間だけ保証して、その後は1年とか2年更新だったりします。なぜ、途中で「更新」という方法をとるのでしょうか。

 

アパートは10年も経てば老朽化してきますから、家賃相場も下がってきます。これは家賃保証をした事業会社の収益に直結するのです。 

 

例えば、17万円で総戸数8戸のアパートの年間賃料は672万円です。家賃保証会社が8掛けてサブリースすると、家主さんには賃料収入の8割である5376千円ほど収入がありますから、家賃保証会社の年間利益は1344千円です。 

 

アパートは10年も経てば家賃は1割程度下がりますから、新築時から10年後の年間賃料は672万円×0.96048千円です。(この計算は新築時から入居していた人が、一旦、全戸退去して、再募集した場合です。また、新築時から長期入居している人の賃料は原則として下げる事はありません)

 

つまり、家賃保証会社の利益は6048千円-5376千円=672千円ということになります。

 

年間で672千円の利益というのは、1カ月に直すと56千円ですから、1戸空きが出てしまうと赤字になります。

 

このため、家賃保証会社は家主に保証額を下げる交渉をするのです。すると家主に入る賃料収入が減りますが、問題はローンを組んでアパートを建てている場合が多いですから、場合によっては、全く手元にお金が残らない事もあります。



この問題は10年以上も前からあったのです。 

 

余談ですが、建築事業会社というのは、家賃保証会社を傘下にしていることが多いのですが、この賃料リスクを見込んで建てています。アパートの建築費は戸建よりも安い仕様になっていますが、実は建築費の利益の中に余分に利益を組み込んでいるのです。
 


 

国交省が「サブリース契約」のリスクの説明を義務化

 

国交省は「家賃が減る可能性がある」といったリスクについて、業者に説明義務を課す法改正を決めました。対象となるのは「サブリース契約」と呼ばれる契約類型が対象です。これは、土地の所有者が建てたアパートなどを、賃貸住宅管理業者などが一括して借り上げ(家賃保証)、入居者集めを含めた建物管理を行うというものです。空き室の有無に関係なく、一定額の家賃を業者が所有者に支払われます。
 
 
 
説明を義務化した背景には、「サブリース契約」について、賃料の減額請求に関する苦情が増加したため、国土交通省が賃貸住宅管理業者に対して、「借賃(空室時期等に異なる借賃とする場合は、その内容を含む)及び将来の借賃の変動に係る条件に関する事項」について説明義務を課すことでトラブル防止を図ったのです。

 

 

賃料減額の法的根拠

 

家賃減額のトラブルの原因は、借地借家法が定める「賃借人による賃料減額請求権」だと言われています。この規定は強行規定(当事者の契約でも変更できない規定)とされており、最高裁で「サブリース契約に賃料の自動増額特約や賃料保証特約などが規定されていたとしても、賃料減額請求権を行使することができる」という結論が下されています。

 

 近年のサブリース契約においては、賃貸人は不動産所有者たる個人で、賃借人が事業会社となっているケースが多くなっています。このようなサブリース契約においては、経済的には強者とも思われる事業会社が、借地借家法による保護を受けるという逆転現象のような事態が生じているのです。

 
 

金融庁が「アパートローン」に目を光らせている

 

アパートローンは1980年代のバブル時代に活況を見せましたが、その後のバブル崩壊で、多くの不良債権が発生しました。そのためか金融庁は、融資の審査に際して「建築事業会社と土地所有者が交わす契約書を綿密にチェックしているか・・・」などを注視し始めているそうです。長期家賃保証という契約でありながら、実際にはその有効期間がきわめて短期に限られているようなケースがあるからだそうです。
 

 

建築事業者は増収増益という現実

 

国交省の発表によりますと、平成27年の新設住宅着工戸数は 909,299戸ありました。前年比では1.9%増となりました。内訳では、持家は283,366戸で前年比 0.7%減、貸家は 378,718戸で前年比 4.6%増で4年連続の増加、分譲住宅は 241,201戸で前年比 1.6%増です。


 

さらにいくつかの大手アパート建築事業者のホームページを見ると、この5年間は増収増益となっています。相当な営業攻勢をかけていったと思われます。

 
 
 
 

それでも土地を売らずにアパートを建てる

 

 
あるお客さんの話ですが、先祖代々所有している休耕田が数百坪ありました。その土地は郊外にあるのですが、税金が年間で数十万円掛かるので、売却するか、アパートを建てるか悩んでいました。
 
 
 
建てた場合の入居率については、新築時は満室になるかも知れませんが、5年、10年と経過していくと、人口減少の問題から空きが出そうな地域でした。しかし、土地所有者はアパートを建てる方を選択しました。理由は、先祖代々の土地を簡単に売りたくないのです。そして、もしアパート事業が立ち行かなった時には売却するという決断をされました。いわゆる「損切り」ですが、これも一つの方法です。
 
 
 
人口減少が叫ばれていますが、アパートの需要が実際にどれほどあるのか、地域によって差がありますが、アパート建築は長期的な視野で検討すべきです。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

スポンサーリンク