その神宮前、南青山地域とはどんな場所なんでしょうか。
神宮前、南青山は乱開発エリアだった
この地域は、JR渋谷・原宿駅から近く、東京メトロでは「表参道駅」になり、大通りには商業施設やオフィスビル等が立ち並んでします。一見華やかなイメージがある街ですが、しかし、この地域は、2005年前後からリーマンショックにかけて、数々の地上げ開発が行われ、その後、開発業者は資金ショートを起こし、整理回収機構にも譲渡されたりで、土地が虫食い状態で放置されていました。その数は実に数十カ所ありました。
その後、これらの土地はコインパーキングなどの駐車場に変わり、近年やっと建物が建つようになりました。
土地面積
広尾病院の移転先の土地面積については公表されていませんので、GoogleMapで概略を計測すると、約25,000㎡(7,562坪)となります。地形が変形していますから、誤差はかなりあると思います。
この地域は第2種住居地域で建蔽率60%、容積率300%ですが、青山通り沿いの一定エリアは商業地域ですから、容積率が700%になります。但し、土地の一部が「神宮前5丁目特定街区」に指定されている関係で、指定陽性率は350%、建物の高さ制限が65mとなっています。
土地価格
土地の前面道路は青山通りですが、本物件の前面道路の平成28年度の路線価は417万円/㎡ですから坪1,378万円となりますが、実勢価格については坪2,000万円ぐらいでしょう。これをもとに計算すると土地価格は、
7,562坪×2,000万円=1,512億円となります。
但し、この広大な土地を評価する場合、住居地域の土地割合が多いため、青山通りの路線価で計算してしまうと、高すぎる結果になります。そこで、敷地南側の道路の路線価で計算してみます。
南側道路の路線価は141万円/㎡ですから、坪466万円となり、実勢価格は1.5倍の700万円とします。すると土地価格は、
7,562坪×700万円=529億円となります。
ここで少し調整が必要です。土地の一部が青山通りに面しており、この土地については高度利用が出来るため、土地評価を高くする必要があります。その土地面積を商業地域エリアで計測すると、
55m×60m=3300㎡(301坪)となります。
従いまして、土地価格は、
301坪×2,000万円+(7,562坪-301坪)×700万円=60億円+508億円=568億円
となります。
しかし、この土地は整形地ではないし、さらに「広大地補正」をする必要があります。
広大地補正
国税庁のホームページによると、「広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいいます。ただし、大規模工場用地に該当するもの及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものは除かれます」とあります。
さらに「広大地として評価する宅地は、5,000㎡以下の地積のものとされています。したがって、広大地補正率は0.35が下限となります(地積が、5,000㎡を超える広大地であっても広大地補正率の下限である0.35を適用して差し支えありません)」とあります。
なぜ広大地補正が必要であるかについては、土地面積が大きくなるほど開発行為により生じる開発道路や提供公園、公開緑地等の共用部が行政の指導により、義務付けられているからです。
5,000㎡ を超えるような土地の補正については、税務署や会計士等の打ち合わせが必要になると思われます。
200億円を7,562坪で割ると坪264万円となり、いくら広大地であっても青山や神宮前でこの坪単価は少し安いかも知れません。あとは事業採算が合うか調整することになりますが、神宮前や南青山の住宅地の土地坪単価は400万円から500万円していますから、これをもとに少し調整してみたいと思います。
坪400万円で計算すると、400万円×7,562坪=302億円となりますから、土地価格は200億円から302億円の間が妥当だと思います。つまり土地価格は、その中間の250億円という事になると思います。
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